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日本スペイン外交関係樹立150周年記念シンポジウムのお知らせ(2018年10月27日)

会員の椎名浩さん(分科会IIで報告者をつとめられます)から、京都外国語大学で開催される、日本スペイン外交樹立150年記念シンポジウムについてのご案内をいただきましたのでお知らせします。

日本スペイン外交関係樹立150周年記念シンポジウム
「変わりゆく世界におけるスペインと日本」

共催:京都外国語大学スペイン語学科・駐日スペイン大使館
協力:京都イスパニヤ学研究会
日時:2018年10月27日(土)13:00-18:30
場所:京都外国語大学4号館5・6階

プログラム
タイトルの後に * がついている講演や発表は日本語で行われます。
末尾の記号は、たとえば「@452」の場合「4号館5階452教室が会場」の意味。

13:00-13:15 開会@452

13:15-14:15 基調講演 I @452
ギジェルモ・マルティネス・タベルネー氏(バルセロナ・ポンペウ・ファブラ大学)
 「19 世紀におけるスペインと日本が共有するグローバル・ヒストリー」

14:15-15:15 基調講演 II @452
木村直樹氏(長崎大学)
 「近世日本における西欧文化との交流と通訳・翻訳 -スペイン通詞不在期におけるオランダ通詞の視点から-」*


同時通訳 山本賀子・西松 鈴美

15:15-15:30 休憩

15:30-18:15
分科会 I <ことば と文化 > @ 452
分科会 II <歴史と外交 > 6階国際会議場
分科会 III <社会と政治 > @ 453
分科会 IV <歴史とキリスト教> @ 451

18:15-18:30 閉会

【分科会報告者・テーマ詳細】

分科会 I <ことばと文化 > @452
司会: ハビエル・ゴンザレス
15:30-16:00 太田靖子(京都外国語大学)
 スペインにおける俳句 1世紀の歩み  読む俳句から体験する俳句へ
16:00-16:30 サロモン・ドンセル-モリアノ・ウルバノ (グラナダ大学 / 早稲田大学)
 マンガ、アニメとその翻訳:スペインと日本の架け橋
16:30-17:00 二宗美紀 (立命館大学)
 スペイン語と日本における形容詞の比較
17:00-17:15 休憩
17:15-17:45 ハイメ・ロメロ・レオ(サラマンカ大学)
 スペイン語版マンガの美学:コミックにおけるスペインと日本の相互影響
17:45-18:15  ホセ・ A・モンタニョ・ムニョス (立教大学 /セルバンテス文化センター)
 スペイン映画界における日本現代映画

分科会 II<歴史と外交 >  6階国際会議場
司会 : 牛島 万
15:30-16:00 豊田 唯(早稲田大学)
 スペイン黄金世紀における花卉画の成立について*
16:00-16:30 椎名 浩(熊本学園大学)
 関係断絶期の日本におけるスペインの情報・知識・関心 1624 -1868 年*
16:30-17:00 T森本輝嗣 (東北大学大学院文研究科博士後期課程  )
 スペイン人からみた幕末維新期の日本像-エンリケ・デュプイを中心に-*
17:00-17:15 休憩
17:15-17:45 ウバルド・イアッカリーノ(ナポリ大学)
 17世紀初頭におけるスペインと日本の協力の合意について
17:45-18:15 立岩礼子 (京都外国語大学 )/アルベト・ミヤン ・マルティン(慶應義塾大学)
 日西関係に関わる明治期の外交資料についての予備調査

分科会 III<社会と政治 > @ 453
司会: ヒセレ・フェルナンデス
15:30-16:00 ユイス ・バユイス (京都外国語大学)
 スペインと日本のエネルギー業界におけるエネルギーの移行と社会変化
16:00-16:30  アルトゥーロ・エスカンドン/竹口 果穂 (南山大学)
 スペインと日本における公共空間: 憧憬と空白空間への恐怖のはざまで
16:30-17:00 アルベト・ミヤン・マルティン (慶應義塾大学)
 国家の近代化としての小学校教育導入に関する日本とスペインの比較 -19 世紀の公教育政策を中心に-
17:00-17:15 休憩
17:15-17:45 山村磨喜子 (神戸大学院人間環境発達研究科博士後期課程)
 フラメンコ・ギタリスト勝田保世のスペイン留学とその後の活動*
17:45-18:15 森直香 (静岡県立大学)
 フランコ政権末期におけるロルカとその作品の扱い 

分科会 IV <歴史とキリスト教> @ 451
司会: 大越 翼
15:30-16:00 ベルナ・マルティ・オロバル(上智大学)
 イエズス会士と僧侶-山口での論争を巡って-
16:00-16:30 木﨑孝嘉(日本大学/関東学院大学)
 スペインにおける天正遣欧使節パンフレット出版背景*
16:30-17:00 カルラ・トロヌ・モンタネ(日本学術振興会/京都大学)
 17世紀スペイン帝国における日本の殉教者への顕彰と記憶
17:00-17:15 休憩
17:15-17:45 アントニオ・ドーニャス(東京大学)
 ディエゴ・コリャード(1587-1641-日本、スペイン、そしてローマ-
17:45-18:15 福地恭子(琉球大学)
 17 世紀における聖ヤコブ崇敬の一考察-民衆の求める聖人像*

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スペイン史学会第40回大会のお知らせ(2018年11月3日)

スペイン史学会委員会から、下記の通り第40回(2018年度)大会のお知らせをいただきましたのでお知らせします

【スペイン史学会第40回大会】
「人の移動からスペインの近現代を再考する」

日時:2018年11月3日(土)13:00〜18:00
会場:慶應義塾大学日吉キャンパス独立館3階D-309教室

  (東急東横線、東急目黒線/横浜市営地下鉄グリーンライン 日吉駅 徒歩1分)
   https://www.keio.ac.jp/ja/maps/hiyoshi.html

備考:事前登録不要、資料代実費(500円)

13:00~13:15    開会挨拶及び趣旨説明

13:15~14:20    第一部    強制された移動  (司会 山道佳子)
   八嶋由香利(慶應義塾大学)
   「人の移動とスペイン植民地支配
    ―カルリスタの強制移動・労働とハバナの近代化—」
        砂山充子(専修大学)
   「スペイン内戦と人の移動—バスク・チルドレンをめぐって―」

14:30〜15:35    第二部    経済的な要因での移動  (司会 八嶋由香利)
        山道佳子(慶應義塾大学)
      「18世紀後半から19世紀初めにかけてのスペインにおける若年人口の
        移動とギルド―カタルーニャの絹産業を中心に―」
        深澤晴奈(東京大学)
        「スペインにおける外国人労働者の流入と受け入れ社会―2000年代に
        おけるマドリード、カタルーニャ、アンダルシアの比較を通じて―」

15:45〜16:50    第三部    人の移動とコミュニティ、ネットワーク (司会 砂山充子)
        上野貴彦(一橋大学大学院)
      「バルセローナ都市圏における「共生」の構築
        ―住民自治組織と移民団体に注目して―」
        萩尾生(東京外国語大学)
      「在外バスク系同胞支援策における民族性、領域性、歴史性」

17:00〜18:00    全体討論

大会後、会場近くで懇親会を準備しています(18:30開始予定)。

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中世貨幣史に関するワークショップ(2018年9月3日‐4日)のお知らせ

大分大学の城戸照子さんから、スペイン人研究者を交えて9月3・4日熊本大学で開催されるワークショップ
「前近代ユーラシア西部における貨幣と流通のシステムの構造と展開」
のご案内をいただきましたので、下記のとおりご紹介します。

日程:2018年9月3日・4日(月・火)
会場:
熊本大学「くすのき会館」 

 

スケジュール
9月3日(月)
9:30-10:00  開会の辞 鶴島博和(熊本大学)

10:00-12:30 中世イベリア半島(スペイン)のイスラーム貨幣の世界(司会:上智大学・阿部俊大)
1 ファティマ・マルティン=エスクデロ(マドリード・コンプルテンセ大学)
「7-9世紀アル=アンダルス地方におけるイスラーム埋蔵貨へのアプローチ」

2 アルベルト・J.・カント=ガルシア(マドリード自治大学)
「10世紀アル=アンダルス地方におけるイスラーム埋蔵貨へのアプローチ」

3 カロリーナ・ドメネク=ベルダ(アリカンテ大学)
「11-12世紀アル=アンダルス地方におけるイスラーム埋蔵貨へのアプローチ」

討論

12:30-13:30  昼食休憩 

13:30-14:30  中世地中海世界のイスラーム貨幣の世界(司会:弘前大学・亀谷学)
1 ウォーレン・シュルツ(デポール大学)
「マムルーク朝(AH784-922/AD1328-1517)期のチュルケスにおける、利害関係者としてのスルタンたちによる貨幣製造:バログ・コレクション(Balog’s Corpus)後、50年の研究蓄積(新しいコイン・カタログ編纂へ)」

14:30-15:00  休憩 

15:00-17:00  中世地中海世界のキリスト教徒の貨幣の世界(司会:大分大学・城戸照子)
1 ウィリアム・デイ(フィッツウィリアム博物館)
「1350年頃のフィレンツェの造幣所における貨幣製造過程」

2 ダビッド・カルバハル=デ=ラ=ベガ(バリャドリッド大学)
「中世後期カスティーリャ地方の貨幣政策」

3 アルベルト・エストラーダ=リウス (カタルーニャ国立美術館)
「中世アラゴン王家の造幣所ネットワークにおける組織と製造過程」

討論 

9月4日(火)
9:30-11:00 総合討論

(*9月6日・7日は、同志社大学にて、シンポジウム開催)

連絡先:tkido★oita-u.ac.jp 城戸照子さん(大分大学経済学部)※★を@に変える。

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2018年度夏季研究大会の報告

先にお知らせした、九州地区スペイン研究友の会の2018年度夏季研修大会(2018年8月8日、会場:久留米大学福岡サテライト)は、11名の参加者を得て無事終了しました。ご多忙な中講師をお引き受けくださった井手さん、徳山さん、酷暑&台風接近が可燃されるなか、各地よりご参加いただいた皆様には、厚くお礼申しあげます。

2018080801
井手修身氏による講演。

2018080802
徳山光氏による研究発表。

2018080803
井手さんのお店、「情熱の千鳥足CARNE」でおこなわれた懇親会。

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2018年度夏季研究大会のお知らせ(決定)

日 時 2018年8月8日(水) 13:00~17:00
会 場 久留米大学福岡サテライト
福岡市中央区天神1-4-2 エルガーラオフィス6F TEL:092-737-3111
(西鉄福岡駅、地下鉄空港線「天神」駅、七隈線「天神南」駅下車)
入場無料

スケジュール
13:00~14:50 第1部 講演会
井手 修身氏(イデアパートナーズ株式会社 代表取締役)
地域資源を活用した地域活性化術―まちが賑わうバルウォーク福岡
(休憩)
15:00~16:30 第2部 研究発表
徳山 光氏(元長崎県立美術博物館学芸員)
   「聖母マリアのほくろとペドロ・ゴメスの神学講義」

16:30~17:00 友の会議事、事務連絡他

18:00~ 懇親会 「情熱の千鳥足CARNE」 会費5,000円
●参加ご希望の方は、8月1日(水)までに、椎名(下記メール)までご一報ください。

お問い合わせ先(椎名): shiina.hiro★nifty.com(★を@に変える)

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2018年度夏季研究大会のお知らせ(速報)

今年は福岡市を会場に、2015年、2017年と同様1日日程の研究会形式で行います。
第2部の報告者等、詳細が決まり次第改めてお知らせします。ぜひご予定にお繰り入れください。

日 時 2018年8月8日(水) 13:00~17:30
会 場 久留米大学福岡サテライト
福岡市中央区天神1-4-2 エルガーラオフィス6F TEL:092-737-3111
(西鉄福岡駅、地下鉄空港線「天神」駅、七隈線「天神南」駅下車)
入場無料

スケジュール(予定)
第1部 講演会
講演① 井手 修身氏(NPO法人イデア九州・アジア理事長)
「バルを素材にした街づくり(仮題)」 
講演② 徳山 光氏(元長崎県立美術博物館学芸員)
   「聖母マリアのほくろとペドロ・ゴメスの神学講義」

第2部 研究発表
※3~4名程度の発表を、下記要領で募集中。

18:00~ 懇親会(希望者)(天神界隈を予定、参加費5,000円前後)

お問い合わせ先(椎名): shiina.hiro★nifty.com(★を@に変える)

【第2部 研究発表の募集について】
応募期限: 7月7日(金)までに、椎名(上記メール)宛に氏名・所属・題目(仮題可)をお伝えください。
発表内容等: 下記のように幅広く募集します。スペイン史および西洋史以外の歴史学、また人文・社会科学諸分野の先生方・研究者の皆さまにもお声掛けくだされば幸いです。
①報告時間(目安): 本体20分、質疑10分。ただし報告者数により調整の余地あり。
②内容(対象地域等): ポルトガル、ラテンアメリカ(征服前含む)および日系移民、アメリカ合衆国のヒスパニック問題、イスラム史のマグリブ、アジア史のフィリピン・マラッカ・マカオ、日本史の南蛮・キリシタンまでOK。
なおスペイン以外のヨーロッパ史専攻の方は、スペインないしイベリアと何らかの接点があるテーマでお願いします。
③要件: 修士論文中間報告的なものからOK。学部生卒論の中間報告も拒みませんが、その際は指導教員の先生が同行・登壇されるようお願いします。

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イエズス会劇に関するワークショップのお知らせ(2018年3月16日)

メンバーの畠中昌教さんから、下記のワークショップについてご案内がありました。
ご都合のつく方はふるってご参加ください。

日本学術振興会 二国間交流事業
公開ワークショップ
「ドイツ語圏のイエズス会劇と西洋古典文学」

日時: 2018年3月16日(金) 16:00~
会場: 久留米大学御井キャンパス ラーニングコモンズA(本館2階)

詳細はチラシ「2018.pdf」をダウンロード

をご覧ください。

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報告要旨 齊藤豪大(2017年8月10日)

2017年度夏季研究大会報告要旨(2017年8月10日 北九州市立大学)

近世ポルトガルの塩生産と塩輸出
                               
—在リスボンスウェーデン領事の立場から—

                                    齊藤 豪大

本報告の目的は、リスボンに派遣されたスウェーデン領事が記録した、もしくは関係する史料の分析を通じて、近世ポルトガルにおける塩生産と塩輸出の問題について考察することにある。冷蔵技術がない前近代において、塩は重要な保存料であった。
 海に面していながら塩を生産することが困難であったスウェーデンでは、塩の安定供給が重要な問題とされてきた。特に近世では、スウェーデン商務顧問会議(Kommerskollegium)が南欧各地に領事を派遣し、塩取引に関する情報網を構築していった。そして、スウェーデンにとって最重要の塩生産国、それがポルトガルであった。
 ポルトガル塩業史研究においては、Rau (1969) を嚆矢としてセトゥーバルを中心とする製塩業やその経済的な問題について研究が進められてきた。また、スウェーデン経済史研究においてもMüller (2004) やLindberg (2009)などがポルトガル産塩を輸入する上での諸問題について検討してきた。そこで本報告では、在ポルトガルスウェーデン領事やその関係者が記録した史料の分析を通じて、ポルトガルにおける塩生産やその輸出状況について検討を行った。これにより、塩の品質差、また北部では上級の塩が多く、南部では低級の塩が多く生産されたこと、さらには上級の塩については輸出用として取引されていたことなどが明らかとなった。

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報告要旨 疇谷憲洋(2017年8月10日)

2017年度夏季研究大会報告要旨(2017年8月10日 北九州市立大学)
リスボン地震(1755)からの復興とポンバル改革
                              疇谷憲洋

ポルトガル国王ジョゼ1世の治世(1750~77)は、「ポンバル時代」とも呼ばれている。これは、ポンバル侯爵セバスティアン・ジョゼ・デ・カルヴァリョ・イ・メロが、後に「啓蒙専制主義」とも称される手法で、政治・経済・文化・教育など多岐に渡る様々な改革を行い、ポルトガルの近代化の基礎を築いたとされているのがその理由である。
 しかしながら、ポンバルが実権を掌握し、全般的な改革を推進するのは1756年以降であり、これは、1755年のリスボン地震への対応や復興に関してかれが中心的な役割を果たしたのと対応している。本報告では、「再独立」後の状況と国務秘書体制の構築について述べ、震災時のポンバルの位置付けを明らかにしたのち、震災対応・再建事業とポンバル政権の成立、それが近代ポルトガル政治文化において持つ意義についても検討する。
 スペインとの同君連合期(1580年~1640年)には、ポルトガルは、マドリッドのポルトガル評議会と、スペイン王権の代理人である副王/総督を通じて統治されていた。1640年のクーデターによってブラガンサ朝が成立すると、このクーデターを支持したポルトガル貴族が台頭し、各種顧問会議、評議会や委員会の主要メンバーとなって国政の中心に位置する。こうした多頭政的な体制に対し、国王は、秘書官職を設置して各会議間の調整を行うとともに、国政に影響力を行使していた。ジョアン5世期に、様々な官職を兼務していた寵臣・秘書官コルテ・レアルが死去すると、新たに内務担当、外務・陸軍担当、海外領・海軍担当の三つの国務秘書官職が設置され、他の寵臣とともに国王権力を支える存在となる。
1750年にジョゼ1世が即位すると、ポンバルが外務・陸軍担当国務秘書官に任命される。彼の最初の仕事の一つが、アメリカにおける境界画定(マドリッド条約)の実施であり、弟のマラニャン・パラ総督メンドンサ・フルタードを派遣して、境界画定作業とアマゾン流域の防衛の強化に乗り出す。その一方で、ポンバルは、アマゾン川流域の開発を目的とするグラン・パラ&マラニャン総合会社設立するが、こうした一連の政策は、この地域に先住民教化村を有するイエズス会との対立を招くものであった。
 1755年のリスボン地震は、こうした状況下で起こった。犠牲者1万人以上を数え、震動・津波・火災で市中心部は壊滅的被害を受け、ポルトガル王家はベレン宮で難を逃れたものの、政府機能は物理的に破壊された。こうした中で、ポルトガル政府は、ポンバルを中心に「対応政府」を構築し震災対策と都市再建を進めていく。アマドール・パトリシオ・デ・リズボア著『地震に対する主要な措置の覚書』によれば、犠牲者の埋葬と疫病予防、食・住の確保、「火事場泥棒」の逮捕・処刑、流言蜚語の取り締まりなど、今日の震災対策とも共通するものが多い。首都再建については、王国技官長マヌエル・ダ・マイアを中心とする技官グループに再建案を作成させ、市中心部を格子状の街路で区画し、免震構造を取り入れ規格化された建築を採用して再建することになった。
 こうした震災対応・再建事業を通じて、それまで外務・陸軍担当であったポンバルは、内務担当に異動するとともに、以後、国務秘書官人事はポンバルを中心に行われ、いわゆる「ポンバル政権」の成立を見る。王室財務府や警察総監局といった新たな政府部局が創設され、王権の強化と中央集権化が進んでいく一方で、ポンバルと対立した大貴族やイエズス会は迫害・追放される。権力の確立と並行しながら、ポンバルは、宮宰職、オエイラス伯爵位、ポンバル公爵位を自らが授けられるだけでなく、弟のメンドンサ・フルタードは海外領担当国務秘書官、パウロ・デ・カルヴァーリョも異端審問所長官に任命されるなど、一族の栄達と権力の強化も図っている。
 このポンバル政権の下で再建された都市リスボンの中に、王宮は再建されず、震災前のテレイロ・ド・パソ(王宮広場)は方形に区画されてプラサ・ド・コメルシオ(商業広場)に名称変更されたが、これは、リスボン再建事業と、ポンバルの重商主義・ブルジョワジー保護政策の関連を示すものであり、パッセイオ・プブリコ(「公共遊歩道」)の設置(1764年構想)も、「ブルジョワの世紀」19世紀を予見するものであった。
 1775年にはプラサ・ド・コメルシオにジョゼ1世騎馬像が設置される。その除幕式には祝宴が催され、リスボン再建の「記念碑」的存在となったが、その台座部分にはポンバルの胸像のメダイヨンがはめ込まれた。震災と復興、その過程で起きた独裁的な権力の誕生、国王ではない政治家個人の「栄光化」という、ポルトガルの政治文化史上特異な経験を今日に伝えている。

[資料]
Freire, Francisco José( Amador Patrício de Lisboa), Memorias das principaes providencias, que se deraõ no terremoto, que padeceo a Corte de Lisboa no anno de 1755, ordenadas, e offerecidas à Majestade Fidelissima de Elrey D. Joseph I. Nosso Senhor ,Lisboa , 1758
[二次文献]
Araújo, Ana Cristina, O Terramoto de 1755, Lisboa e Europa, Correios de Portugal, 2005.
Azevedo, João Lúcio de, O marquês de Pombal e a sua época, (2.ª edição), Clássica Editora, 1990.
Cardoso, José Luís , ‘Pombal, o Terramoto e a Política de Regulação Económica’, in O Terramoto de 1755-Impactos Históricos-, Livros Horizonte, 2007.
Chantal, Suzanne, A Vida Quotidiana em Portugal ao Tempo de Terramoto, Edição Livros do Brasil Lisboa, (sem data).
Fonseca, João Duarte, 1755, O Terramoto de Lisboa, (2.ª edição), Argumentum, 2005
França, José-Augusto, Lisboa Pombalina e o Iluminismo, Livraria Bertrand, 1983.
Macedo, Borges de, A Situação Económica no Tempo de Pombal, Porto, 1951.
Maxwell, Kenneth R., Pombal, Paradox of the Enlightenment, Cambridge University Press, 1995.
Mascarenhas, Jorge, Sistemas Construção-V, (2.ª edição), Livros Horizonte, 2005
Monteiro, Nuno Gonçalo, D. José, na sombra de Pombal, Temas e Debates, 2008.
Priore, Mary del, O Mal sobre a Terra, Topbooks, 2003
Santos, J.J. Carvalhão, Literatura e Política, Pombalismo e Antipombalismo, Minerva, 1991
Santos, M. H. Ribeiro dos, A Baixa Pombalina-Passado e Futuro, Livros Horizonte, 2005
Subtil, José, O Terramoto político (1755-1759), Memória e Poder, Universidade Autónoma de Lisboa, 2006.
AA.VV., O Terramoto de 1755-Impactos Históricos-, Livros Horizonte, 2007
疇谷憲洋,「ポンバル政権の成立について-リスボン大地震の政治的影響-」,『大分県立芸術文化短期大学研究紀要』,第49巻,2012年,pp.31-41.
同,「同時代印刷物から見たリスボン地震(1755年)への反応と対策」,『大分県立芸術文化短期大学研究紀要』,第52巻,2015年,pp. 123-136.
同,「リスボン地震から近代国家への道-改革事業」,(公財)ひょうご震災21世紀研究機構研究調査本部研究調査報告書『リスボン地震とその文明史的意義の考察』,2015年,pp.32-45.

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報告要旨 野上 和裕(2017年8月10日)

2017年度夏季研究大会報告要旨(2017年8月10日 北九州市立大学)
スペイン19世紀議会主義試論
                                       野上和裕

「研究上の問い」Research Question
スペインの議会制について、脆弱性・遅延・「ブルジョア革命の不在」といったスペインの特殊性を前提して「正常な議会制」との比較により欠落部分を探求する見方からの脱却を進め、他国と比較しても遜色のない議会制が強固に定着した国である可能性を踏まえて、スペインの議会制に存在する特質・「先進性」・問題点を点検しよう。

要旨
議会制と王権との関係は、両者を対立的に捉えるヒンツェ以降の歴史学の流行と異なり、むしろ中央権力=王権の成長や近代国家の成立が議会制を生んだと言える。スペインでは、カディス議会の招集、イサベル2世の王位継承権の確保の例を見ても、王権と議会制の結合が強く、相互に補強する存在であった。スペインの議会制を19世紀ヨーロッパにおいて見るとき、制限選挙であったことは逸脱例でない。少なくとも世紀半ばまで、スペインはもっとも選挙権が拡大し、平等化が進んでいた国のひとつであった。軍人の問題を別とすれば、スペインは議会主義の定着という点で他国と比較して強固であったとさえ言える。そこで、スペインにおける党派の対立をヨーロッパ全体の文脈で捉え直すと、ModeradosとProgresistasは、後者が前者よりも議会主義的であると言えない。Moderadosも、議会中心の政治体制を構想し、政党政治論を生み出した。Moderadosがカディス憲法の「国民主権」を否定し、議会”Las Cortes con el Rey”に主権を求めたのは亡命先のイギリスの混合政体論の輸入と言える。カディス憲法でカトリックが国教とされたことに自由主義の限界を指摘する見解もあるが、イギリスで審査法が廃止され、カトリック解放が実現するのは1828年と29年のことであり、もちろん現在でも国教が存在する。イギリスの議会制とスペインのそれとで大きく違うのは、イギリスで選挙権がいわば党利党略として政治家の信条に反して拡大されていったため、選挙民に訴える政策とそれを実現する行政能力を伴ったのに対して、スペインでは、男子普通選挙が自由主義のプログラムとして1890年という早い段階で導入されたことにある。ここに、19世紀スペインにおける議会主義の「先進性」の逆機能というパラドックスの可能性がある。

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«報告要旨 富田広樹(2017年8月10日)